いつ俺〜いつから俺ができないと錯覚していた?〜

社会人ブロガー。大手メーカーでソフトウェア開発をしている人。プログラミングは結構得意。

今も君が隣にいたなら、こんな気持ちにはならなかったのかな。

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ただの思い出。

けど、僕にとっては忘れることのできない大切な日々。

今日はそんな話。

 

 

はじまりは突然で

 

ぼくは恋をした。

ただ友達と遊ぶだけの、ありふれた一日になるはずだったぼくの前に、彼女が現れたんだ。

友達に連れられてきた数人の中に紛れ込んでいた彼女を、ぼくの目は一直線に捉えて離さなかった。

可愛い子だな、という感情が一瞬遅れて、追いついた。

ぼくはそんな感情を誰にも悟られないようにと、友達と盛り上がることで誤魔化した。

そうしてぼくはその日をやり過ごし、ちょっと可愛い子に出会ったラッキーな日として終わる、はずだった。

そのはずだったんだ。

 

田舎に住んでいたぼくたちに、遊ぶ場所の選択肢なんてほとんどなくて、カラオケに行くことになった。

その間に、ぼくと彼女がトイレに行くタイミングが重なることがあった。

彼女がトイレから出てくるときに段差でつまずき、ぼくがそれを支えた。

ただそれだけの、なんでもないようなこと。

 

「大丈夫?」

「うん、ありがとう」

 

たったそれだけのやりとり。

それなのに、次の瞬間には、彼女の顔が頭から離れなくなっていた。

 

・・・やばい。

 

ただ、そう思った。

ぼくはこの感情の正体を知っていたから。

そんなぼくと彼女の関係が「友達の友達」でしかない、ということも。

 

そう。

 

 

ぼくは彼女に恋をしてしまったんだ。

 

 

再会と進展と

 

ぼくは彼女のことがどうしても忘れられなかった。

ただ可愛い、それだけならよかった。

けど、ぼくはすでに恋に落ちていた。

 

ぼくは、彼女を連れてきた友達に相談をした。

すると、友達からは自分の予想していなかった言葉が出てきた。

 

「あの子も多分、お前のこと好きだぞ」

 

どういうことだと友達を問い詰めたけど、ただなんとなく、とだけしか言ってくれなかった。

けど、そいつはぼくの背中を押してくれて、ぼくもなんだかその気になってきて。

ぼくはその場で彼女に電話をしたんだ。

そのときのことは、話した内容までよく覚えている。

 

「もしもし、しゅんだけどわかる?」

「あ、しゅん君!この前はありがとう。楽しかったよ」

「ぼくもだよ。楽しかった。歌めっちゃうまいなぁって聞き惚れてたよ」

 

そんなことないよって笑いながら言う彼女の声が、愛おしく感じた。

そんなぼくを見て、友達もクスクス笑っていたが。

 

「今度の日曜日に2人で映画でも行かない?」

「うん!いいよ。」

 

そんな返事をあっさりもらえて、ぼくたちは再び会うことになったんだ。

 

そこからは嬉しさと焦りで大変だった。

当日は待ち合わせの2時間前から下見をして、絶対失敗しないぞって気合いを入れて、けど失敗したらどうしようとか心配して。

けど会ってみたらすごく楽しくて。

2人してすごく笑って。

心配する必要なんて全くなかった。

正直、2人で初めて見た映画は、内容よりも彼女のことが気になってあまり覚えてないけど。

 

そんな楽しい1日もすぐに終わりが来た。

 

「今日はすごく楽しかったね」

 

そう言った彼女は、本当に綺麗に笑っていた。

ぼくもすごく、ものすごく楽しかったよって言いたかったのに、「うん、そうだね」としか言えなかった。

 

ぼくは「こんな日がこれからも続いて欲しい」って、思った。

思っただけのはずだったのに、口に出ていた。

口に出してしまったことに気づいたときにはもう遅くて、彼女は驚いた顔でこっちを見てきた。

 

「いや、違うんだ、そうじゃなくて」

 

くるしい、くるしいぞ、しゅん・・・。

そう自分で思いながらも誤魔化そうと必死だった。

けど、そんなぼくのことを彼女は真剣な顔で見ていた。

 

「しゅん君、それってどういうこと?」

 

彼女は、まっすぐにぼくの方を向いて言った。

ぼくは、そんな彼女に真剣に答えたかった。

そして・・・

 

「好きです。これからも一緒にいたいです。ぼくと付き合ってください」

 

「・・・はい」

 

 

そう答えてくれた彼女の笑顔は、やっぱりすごく綺麗だった。

 

 

恋人になった彼女は紅茶花伝が好きだった

 

恋人同士になった僕たちは、本当に幸せな時間を過ごした。

ぼくたちは学校が別々だったから、1週か2週に1回会うくらいだったけど、電話やメールも好きだったし、会えた時の嬉しさをものすごく感じられた。

 

なぜか思い出に残っているのは、彼女と自動販売機で紅茶花伝のミルクティーを買った時のこと。

その日はとても冷え込んでいて、二人で「寒いね」って言いながら寄り添って歩いていた。

そんなときに自動販売機で売ってる紅茶花伝を見て、彼女は「これほしい」って言うんだ。

彼女は紅茶花伝が大好きだったから。

仕方ないなぁって言いながらぼくが買って彼女に渡すと、すごく嬉しそうにしてたな。

「あたたかいよ!」って言いながらそれをぼくに渡してきて、あたたかいなってたしかに思って。

なんてことのない、そんな日常の1ページが、本当に幸せだった。

 

遠距離恋愛

 

時は流れ、付き合って1年が経った頃。

ぼくは大学に編入するために上京することになった。

遠距離恋愛をすることになったんだ。

そのことは結構前から決まっていて、彼女も理解してくれていた。

けど本心ではすごく辛かったんだと思う。

ぼくもすごく辛かった。

 

遠距離だったけど、お互いバイトもして月に1回は会えるようにしていた。

毎晩のように電話もしていた。

寂しかったけど、そうやって日々を乗り越えていっていた。

何回も喧嘩したし、何回も泣いたけど、それも2人にとって幸せな時間だったんだって思う。

 

今も君が隣にいたなら、こんな気持ちにはならなかったのかな。

 

そうして遠距離恋愛も2年続き、もうすぐ付き合って3年という頃。

僕たちの関係は、少しぎくしゃくしていた。

以前から喧嘩することはたまにあったが、このときは少し違った。

なんだか気持ちが離れていっているような、そんな気がした。

ぼくも卒論で忙しい時期だったから、毎晩の電話も2日に1回、3日に1回のようになっていたし、電話をしていても笑うことが少なくなっていた。

そのことは少し心配だったけれど、卒論が終わったらまた戻れると楽観視していた。

けど、それは本当にただの楽観だった。

 

卒論が終わり、彼女がぼくに会いに来てくれた。

だけど、どこか様子がおかしかった。

最近ぎくしゃくしていたせいだと思って、精一杯楽しませようと頑張った。

彼女が行きたがっていたディズニーのチケットも準備していたし、少し話ができなかった分もっと話そうとか、結構必死だったような気もする。

彼女は楽しそうにしていたけれど、それでも何かおかしな気がした。

 

そして彼女が来て3日目。

彼女はぼくに言った。

 

「好きな人ができた。別れてほしい」

 

と。

バイト先の人で、もうすでに関係は進んでいたらしい。

 

「なんでそんなことになったんだ」

「ぼくのことはもう好きじゃないってことなのか」

「ぼくたちが過ごしてきた時間はなんだったのか」

 

色々な感情や思いが溢れ出してきて、それを吐き出しているうちに口論になって。

そのときのことは、それ以上ほとんど覚えていない。

気づいたときには取り返しのつかないことになっていた。

 

 

ぼくと彼女の関係はそこで終わってしまったんだ。

 

 

 

 

 

これはよくある別れ話。

ぼくと彼女は人生という長い道の中の、ある一点で交わっただけにすぎなかったんだって、思う。

最後はすごく辛い終わり方だったし、別れた直後は彼女のことが許せない気持ちでいっぱいだった。

けど、2人で一緒にやってきた日々だったから、彼女だけが悪かったわけじゃない。

ぼくにも悪いところはたくさんあった。

そんな中で、僕たちは別々の道を歩いて行くと決めた。

ただ、それだけのことだったんだ。

ぼくは、あんな幸せな日々や、色々な感情をくれた彼女に感謝している。

 

 

少しだけつらいのは、今日みたいな寒い日に紅茶花伝を見ると、彼女のことを思い出してしまうってこと。

やっぱり好きだったんだって、思ってしまうから。

 

今も君が隣にいたなら、こんな気持ちにはならなかったのかな。