いつ俺〜いつから俺ができないと錯覚していた?〜

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レポートの書き方について理系大学院生が徹底的に解説します

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学生であれば、レポートを書く機会というのは多いと思います。特に理系の大学生は、実験レポートに追われる日々を過ごしているかもしれませんね。

 

しかし、「せっかく時間をかけてレポートを書いても全く評価されない」なんてことになっていないでしょうか。これってすごく辛いですよね。どうせ書くなら、しっかりと評価されるレポートを書きたい。

 

今回は、大学生を対象としたレポートの書き方について、TA(ティーチングアシスタント)の経験もある理系大学院生の立場から、徹底的に解説することにします。

 

 

レポートを書く意味

レポートというのは、自分が行ったことの成果を他人に報告するためのものです。ですから、何かしらの成果物があって、それを相手に伝えるために書くというのが、本来のレポートを書く意味です。

 

学生が書くレポートも基本的には同じで、実験の成果・あるいは調べたこと・考えたことを伝えるため、というのが前提にあります。しかし、学生の書くレポートには、同時に「レポートを書く練習」の意味も込められています。

 

社会に出たり、研究をするようになると、レポートなり論文なりを書く機会が増えてきます。そのような状況になって、今まで何もしてこなかった人がいきなり書けるかといえば、書けないわけです。

 

ですから、「レポートを書く」という勉強をするんですね。他の勉強と同じように、「レポートを書く」ということも勉強なのです。

 

評価されるレポートの書き方

学生の「レポートを書く」ということも勉強であるので、他の勉強と同じように、教員によって評価されます。そして、このレポートもなんらかしらの基準によって評価されるわけです。その基準を満たしているものが、評価されるレポートとなります。

 

ここからは、どういった点に気をつければ評価されるレポートになるのかを解説していきますね。

 

読み手が誰なのかを意識する

まず、文章を書く以前に、読み手について意識しなくてはなりません。レポートは、自分の成果・主張を他人に伝えるものです。つまり、「伝える相手」がいるわけです。その相手を意識しないまま書いても、何も伝わりません。逆にそれを意識すると、書くべきこと、書くべきでないことが明確になってきます。

 

例えば、大学の実験であれば、読み手は「教員」となります。教員が読み手であるということは、実験で用いる理論の背景などを理解している人に向けて書くということです。つまり、実験で用いる理論などについて、必要なキーワードなどはしっかり定義するとしても、1から10まで全て説明する必要はないということになります。

 

もし、その実験レポートの読者が自分と同じ大学生や高校生だったらそうはいきません。理論を理解していない人が多いですから、そのレポートの内容を伝えるために必要な情報を、詳細に書かなくてはならないわけです。

 

そのレポートのターゲットをしっかりと定めることで、レポートの内容とゴールも決まってくるということですね。

 

わかりやすく書く

「わかりやすく書く」ということには様々な要素がありますが、基本的には「読者のために」ということからきています。ここに焦点を当てて、評価に直結する部分を解説します。

 

相手のフォーマットに合わせる

「読み手を意識する」ということに繋がる部分ではありますが、相手のフォーマットに合わせるということは重要です。それは、「相手にとってのわかりやすさ」に繋がります。

 

特に、こういったレポートというのは評価の基準が読み手によって変わります。ですから、その読み手に合わせるというのが一番重要なことなのです。

 

大学のレポートなら、教員の言ったことを最優先にしましょう。それは、その教員にとってわかりやすいフォーマットになるように、教員の方から指示をくれているということです。本来のレポートならば、相手のフォーマットを自分で考える・調べるなどして書いていかなければなりません。ですが、大学の場合には教育の意味もあるので、教えてくれることも多いでしょう。

 

専門用語をきちんと定義する

説明に用いる専門用語は、きちんと定義されていなくてはなりません。書き手である自分と、読み手である教員の解釈にくいちがいがあると、それだけで話が伝わらなくなります。

 

「◯◯とは、△△である。」

 

というように、明確に定義しましょう(言い切りましょう)。明確に定義すれば、読み手がレポートを読む際に、定義した通りの意味で理解してもらえます

 

ただし、適当な定義をしていいわけではありません。専門用語にも、一般的に使われる定義がありますから、文献・論文などで調べて、正しい使い方かどうかは判断する必要はあります。

 

用語を統一する

同じ意味を表す単語はいくつもあるかもしれませんが、レポートの中でそれがごちゃごちゃになっていると、すごくわかりにくいです。本当に正しい意味として使っているのかも怪しく感じられます。

 

レポートの中で同じ意味の用語は、きちんと統一しましょう。意識していないと、結構やりがちなことですので、注意してください。

 

事実と意見を区別する

事実と意見をしっかりと区別することは、どのような場面でも重要なことです。意見が事実として受け取られたり 、事実が意見として受け取られたりしては、正しいことを言っているのか疑われてしまいます。

 

これを区別するのは簡単だと思っている人が多いかもしれませんが、実際にはできていないことが多いです。どこまでが事実で、どこからが意見なのかを明確にできていないケースというのはよくあります。また、事実と意見が混ざって使われているケースもよくあるでしょう。

 

それらについて、細心の注意を払わなくてはなりません。

 

構成の組み立て方

レポートの構成には、基本的なフォーマットがあります。それに従うことが、わかりやすさのために必要です。

 

構成は、大きく分けると「序論」「本論」「結論」のようになります。

 

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それぞれについて解説していきますね。

 

序論

序論は、レポートにおける導入部分です。レポートをちゃんと読んでもらえるかは、この時点でほとんど決まってしまいます。ですから、ここをしっかり書き込まなくてはならないわけです。

 

序論は、背景・問題・目的から構成されます。これは押さえておかなくてはならない重要なポイントなので、それぞれ説明します。

 

背景は、そのレポートで取り扱っているテーマの意義・重要性を伝える部分です。この部分がないと、そもそもなぜそのようなテーマを扱っているのかわからなくなります。

 

問題は、そのレポートで解決するように設定した問題です。レポート中では、この問題について議論し、それを解決していくように構成します。

 

目的は、このレポートで出した成果に対応するものです。成果を出すことが目的なわけですから。また、この目的は先に挙げた問題を解決する、というシンプルなものに置き換わりやすいです。

 

特に、目的をはっきり主張しておくことは、そのレポートが何の話をしているのかを伝えることになるので、非常に重要になってきます。

 

本論

本論では、実際に自分がどのようなことをしたのか、どのような成果を出したのか、そのように考えたのかを主張する部分です。本質は、ほとんどここに集まることになりますね。前で述べたように、事実と意見を区別することには気をつけるようにしましょう。

 

また、実験の場合は、実験方法・使用機器などを明記しなくてはなりません。そのレポートを読んだ人が、きちんと再現実験できるようにするためです。

 

結論

結論では、最初に挙げた問題を解決した、目的を達成した、という結果を述べる部分です。最初に設定した問題・目的を達成したという結果がなければ、レポートとしては未完成となってしまいます。

 

逆に、達成したことから問題・目的を決めるというのが一番やりやすい方法であるように思います。そのように、構成を作っていけばストーリーとしてわかりやすくなるでしょう。

 

文章の論理関係が破綻しやすいポイント

文章の論理関係が破綻してしまうと、相手に全く理解してもらえなくなります。特に以下の2点には気をつけるようにしてください。また、これ以外のポイントでも、矛盾のある文章になっていないかには気をつけるようにしましょう。

 

主語がない・主語と述語が対応していない

日本語は、主語がなくてもなんとなく理解できてしまう言語です。しかし、それは間違った解釈に繋がったり、そもそも文章全体を見たときに意味が取れなくなったりします。まずは、主語をきちんとつけるようにしましょう。

 

また、主語と述語が対応していないケースがよくあります。これは、文章が長くなってしまったときに起こりやすいのですが、論理関係以前に日本語として間違っているわけです。文章自体を短く簡潔にし、書いた文章を自分で読み上げることで、そのようなミスがなくなるようにしましょう。

 

章や節のはじまり

章や節が変わるとき、それぞれの関係が明確になっていないと、読んでいる側は混乱してしまいます。最初に、その章で何を話すのか、前の章との関係はどうなっているのかを明確にするようにしましょう。

 

図・表について

図と表は、大前提としてわかりやすくなくてはなりません。文章で示すよりも分かりやすくするために使うわけですから。

 

特に、実験データの表・グラフでは、より意識しなくてはなりません。値や、軸のミスなどがないことは当然ですが、表やグラフを見ただけで何の実験結果なのか分かるようにしておく必要もあります。

 

表やグラフは目立つので、注目されやすいです。ですが、それだけで何のことだかわからないと、まともに読んでもらえなくなってしまいます。注意しましょう。

 

参考文献について

参考文献を明記することは、自分のレポートの信頼度を上げるために、重要な意味をもちます。このときの参考文献は、きちんとした文献(大学の図書館の蔵書や、論文)であるほど良いです。

 

また、どこまでが参照した内容で、どこからが自分で考えたことなのかもわかるように書くことも重要です。気をつけるようにしましょう。

 

最後に

レポートは、「読み手にとってわかりやすいものにする」ということを意識するだけでかなり良くなります。 学生のレポートは特にそうです。面白さよりも、わかりやすさが求められています。最低限これができていれば、評価されるレポートになるので、意識するようにしたいですね。