「完璧主義」
何事にも完璧を求め、それ以外を許せない。
そのような考えの人たちがいる。
完璧主義者というやつだ。
しかし、現実としては完璧などに到達することはできない。
自分が持っている時間やエネルギーには限りがあるのだから。
それでも完璧を目指すために、問題が起こる。
今日は、そんな完璧主義の問題とそれを治す方法について話したい。
完璧主義の特徴と問題
最初から100%の完成度を目指す
完璧主義者は最初から100%の完成度を目指して、それ以外を認めない。
妥協がないその精神は見習うべきでは?と思うかもしれないが、これには問題がある。
100%の完成度を求めるために、タスクが完了しないという事態が起こるのだ。
「完璧を求めすぎて途中で挫折する」
「細部にまでこだわり過ぎて期限に間に合わない」
これが、完璧主義者がぶつかる最初の問題である。
例えば「勉強ができるということは試験で100点を取らなくてはならない」と考えたとする。
これは100%の完成度を目指すことになる。
実際には100点でなくてはならない、だなんてことはないのにもかかわらずこれを目指すばかりに自分を追い込んでいく。
漏れなくすべての内容を理解するために、教科書を最初から読み始め、隅々までインプットしていく。
これには、時間と労力がものすごくかかる。
結果的に途中で挫折することになるだろう。
もし挫折しなかったとしても、試験までに最後まで理解しきることはできずに中途半端な形になってしまう。
自分の能力と時間に対して、タスクが膨大すぎるのだ。
このように「完璧」を求めるために、タスクが「完了」できなくなるのだ。
ミスを許せない
完璧以外を認められないために、ミスを許せない。
ミスがあった時には、そのミスをした者のことを責めることだろう。
それが自分であっても、他人であっても。
自分に対してミスが許せないとき、ミスすることを恐れてやりたくなくなる。
その結果、挫折したり、先送りにしたりしてしまう。
他人のミスが許せないとき、ミスした者を責めることでチームがどんどん疲弊していく。
チームの疲弊が少しずつ歪みを生じさせ、その結果大きなレベルでの進行の遅れが生じる。
ここまででもかなりの問題だが、これだけでは終わらない。
進行の遅れをまた許せなくなり、それを責めることでさらにチームが疲弊する。
そんなサイクルが生まれてしまうのだ。
これによって、全てが悪い方向へと進んでしまうのである。
計画に時間がかかる
完璧主義者はミスを許さないという話を先にした。
そのミスをしないために、綿密な計画を練ろうとする。
本当に細かい部分まで計画を作ろうとするために、非常に時間がかかる。
さらに、ミスをしない完璧な計画を目指すために、その計画が最善であるか考える。
そもそもミスをしない完璧な計画など、存在しないのにもかかわらず。
その「ミスしない計画を作る」→「最善かチェック」→「もう一度計画を練る」・・・というループはどんどん自分にプレッシャーを与える。
「これだけ計画を練ったんだから失敗できない」
という自分への重圧だ。
もし失敗したときには、さらに自分を責めることになり、再始動に時間がかかることだろう。
なにせ、「次の計画こそは」という完璧を目指す思考が抜けないのだから。
根底にあるのは負の感情
ここまで挙げたことの根底にあるのは、欠点を気にする気持ちだ。
完璧にするというのは、欠点をなくすということ。
「誰かの期待に応えるものができていないのでは?」
「失敗して落胆されるのでは?」
そんな気持ちをぬぐい去るために完璧を求める。
その結果、目指すべきがタスクの終了であるにも関わらず、細部の完成度にこだわってしまうせいでタスクをやり遂げることができないわけだ。
完璧主義を治す方法
まずは、「ある程度いい加減にこなす」ということが解決の糸口だと意識してほしい。
その上で、完璧主義を治す方法についてブレークダウンしていきたい。
目標の80%のクオリティでやり遂げる
目標となるクオリティの80%で最後までやり遂げる、という考えに切り替える。
物事は8割くらいまでは簡単に進むけど、そこから先の2割が難しいものだ。
「20%の時間で80%のクオリティを出せる」というのも、実感している人は多いだろう。
8対2の法則だ。
まずは、80%のクオリティでやり遂げる。
この意識が重要である。
優先度を意識する
完璧主義者はすべてのことを完璧にこなそうとしてしまう。
しかし、物事には優先順位がある。
優先順位を意識し、どれを重点的にやるべきかを考える。
それによって、どの部分にどれだけの時間と労力をかけるべきか見積もれる。
優先度の高いことは、根幹となる部分であることが多い。
そこに時間を割くことで自然と最低限の完成が近づくはずだ。
ミスを恐れずにまずはやってみる
「ミスは誰でもする」
このことを念頭に置いて欲しい。
その上で最低限の計画を立て、まずはやってみよう。
ミスしてもいい。
いや、むしろミスをした方がいい。
それが経験となって、次に生きるのだから。
綿密に計画を練ることによって、ミスを恐れるようになる。
だからこそ、ミスを恐れないために計画を練ることに力を入れすぎない。
むしろ実際にやってみるところに力を入れるべきだ。
これによって、ミスをしないように計画を練っていた時よりもスムーズに進行するだろう。
実際にやってみてから考えることで、計画の精度が上がっていくのだから。
これはPDCAサイクルの考え方である。
常に終わる時を意識する(期限を作る)
これは1日の終わりや、全体としての期限を意識するということだ。
期限を設定しておかなくては、100%を目指して突き進んでしまう。
多少無理があるくらいの、厳しい期限を用意するのがいいだろう。
時間がない中でなら、80%のクオリティで実現するように意識を切り替えることができるだろう。
まとめ
今回は、完璧主義の治し方について話をした。
自分が持っている時間やエネルギーには限りがあるので、100%に到達するのは難しいことだ。
いい意味で、「ある程度いい加減にこなす」ということを意識したい。