いつ俺〜いつから俺ができないと錯覚していた?〜

社会人ブロガー。大手メーカーでソフトウェア開発をしている人。プログラミングは結構得意。

『インタフェースデザインの心理学』デザインとはどういうものなのか?

 

「良いデザインとは何か」

 

未だにその答えを探し続けている次第ですが、僕自身が「デザイン」が意味する本当のところをわかっていないのだとも思います。だからこそ、本当に良いデザインというのが何かが見つからないのでしょう。

 

そんな僕が手に取った一冊は、Susan Weinschenk著「インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」です。

 

 

軽い気持ちで手に取ったこの書籍は、デザインについての新たなアイデアをいくつも提示してくれました。しかし、本当に大切なところはそんなことよりも「デザインとはどういうものなのか」という根本のところなのかもしれません。

 

デザインとは誰のためにあるものか

素晴らしいデザインの恩恵を受けるのは利用者です。デザインの対象がウェブサイトであっても、医療機器であっても、そのほかのものであっても、この点は変わりません。

 

デザインというのは、根本的に利用者がいてこそのものです。その利用者が、使いやすかったり、感動したり、そういった要素を抜きにしては考えられません。

 

だからこそ、ただ単におしゃれであったり、ただ単に見やすいであったり、というだけでなく、そこに潜む利用者の心理こそが重要です。そこに注目することこそが、デザインを考える上での第一歩になります。

 

人に対する理解を深め、ただなんとなくそのデザインを使うのではなく、なぜそのデザインなのかを考えることです

 

人について理解することからはじまる

本書では、人がどのように感じるのか・どのように認識するのかについて着目し、その上でデザインについての100の指針を示しています。大きな分類としては、以下のようになっています。

 

  1. 人はどう見るのか
  2. 人はどう読むのか
  3. 人はどう記憶するのか
  4. 人はどう考えるのか
  5. 人はどう注目するのか
  6. 人はどうすればヤル気になるのか
  7. 人は社会的な動物である
  8. 人はどう感じるのか
  9. 間違えない人はいない
  10. 人はどう決断するのか

 

これらについて、具体的に人がどのように感じているのかを示してくれています。それによって、どんなデザインを選択するとどのような効果があるのかが見えてきます。

 

人はどう見るのか

Webデザインにおいて、最も重要な「視覚」に関する話は、本書においてもやはり充実していた印象です。

 

人は過去の経験と予想に基づいて画面を見る

 

左から右に読む言語なら、ユーザーは画面を左から右に読む傾向があります。右から左に読む言語ならその逆です。とはいえ、いちばん左上の角から見始める人はいません。ロゴや余白、ナビゲーションバーなど、今関心がある事柄とは関係が薄いものがあることを知っていますから、端は避けて画面の中心のほうを見る傾向があるのです。

 

これは、非常にわかりやすい例であると思います。僕のブログでも、ページトップのナビゲーションや、サイドバーはほとんどクリックされません。これは、人の注目が記事の内容の方に向きやすいからです。これ自体は記事を読んでもらう上で、非常に良いことでしょう。

 

しかし、記事ではない部分に注目が移ってしまうこともありますよね。

 

対象の「あらまし」をつかむのは中心視野より周辺視野の役目 

 

今見ているのがどういう場面なのかという「あらまし」の情報を、どうやら私たちは周辺視野で得ているようなのです。

 

周辺視野に動くものがあると気になってしかたがないものです。コンピュータの画面で文章を読んでいるときなど、脇に何か点滅するものや動画があったりすると、どうしても気になってしまいますよね。

 

これが理由で、端の方でチラチラしている広告などが気になってしまうわけですね。

 

このような、Webに広がる様々なデザインの効果を、人がどう認識するのかという話をベースにわかりやすく解説してくれています。また、1つ1つの事例をそれぞれで理解するだけでなく、体系的に取り込むことで、自分が本当に注目してほしいポイントをどのように見せたらいいのかがわかってきます

 

デザインの心理学はWebでもそれ以外の場面でも活躍する

デザインの心理学を学ぶ上で、人について理解することが重要であるというのが、本書の立場です。

 

その立場に則って、人はどのように認識したり、どのように考えて行動したり、といったことを丁寧に解説してくれています。これらは、Web上において提供する側が抱える「なぜ読みにくいか」や「なぜクリックされないか」や「なぜ購入されないか」など色々な悩みを解決するための指針となり得るでしょう。

 

さらに、デザインの心理学はそのような枠組みを超えて、様々な分野に応用できる分野でもあります。僕たちは、日頃から人と関わりながら生きています。その中で、認識のズレがあったり、理解されなかったりなどあるでしょう。そういった人を相手にする時のちょっとしたアイデアを得ることもできます。

 

インタフェースデザインの心理学

 インタフェースデザインの心理学は、Webだけでなく、僕たちの生活の中に溢れるデザインについて、”新たな視点”をもたらしてくれます。

 

気軽な気持ちで読んだ本ですが、思ったよりも多くの学びがありましたね。これからも節目節目で読み返すことになるでしょう。